別荘の庭として築庭したと伝えられている常栄寺雪舟庭。現在では、国の史跡名勝に指定されています。
もともとは政弘の別荘だったのですが、政弘が母の菩提を弔うため妙貴寺という寺とし、さらに毛利隆元の菩提寺となった際に常栄寺と改称しました。
まずは雪舟の胸像にごあいさつをして山門を入ると、どこからともなくシャッ、シャッ、という竹ぼうきの音が聞こえてきます。音をたどっていくと、本堂手前の庭で数人の方が掃き掃除や草むしりに精を出しておられました。
どう見ても作業中だというにもかかわらず(邪魔してすみません)声をおかけしてお話をうかがうと、掃除や庭の手入れをするためにこうして来られているのだとか。
常栄寺の近くにお住まいで、檀家さんでもある緑さんは、「庭があれている」という観光客からの投書をきっかけに、「来た人みんなに『さすが雪舟の庭だ』と思ってもらえるように」という気持ちで掃除をするようになったのだそうです。
緑さんとお話をしながら本堂北側にある雪舟庭へ向かいます。この夏に、はりかえたばかりという芝が青々とまぶしい。本堂の廊下に座って庭をじっと眺めていると時がたつのを忘れてしまいそう。
ぐるりと囲む山林を背景として、北側に竜門滝、真ん中辺りには心という文字を表す心字池、そして内庭全体にたくさんの石が置かれ、その硬く鋭い線を生かすように配されています。池の手前の石組みは、中国大陸の三山五嶽や日本の富士山になぞらえたものだということです。
心字池には、清楚でかわいらしい黄色いスイレンの花がたくさん咲いています。このスイレン、春には白、初夏にはピンク、その後は黄色と、花の色が変わっていくそうなので、季節ごとに池の表情を楽しむことができそうです。
まわりの木々は次々と色づきはじめ、これからこの庭も秋の風景へと変わっていきます。毎日のように庭を眺めている緑さんいわく、「どの季節もそれぞれいいけど、冬の雪がのった庭がすごくいい」んだそうです。
緑さんが作業にもどられ、ひとり庭の周りをめぐらす小道を歩くと、改めてその広さを実感できます。庭の表情は、さっき本堂から眺めたのとはまた違った感じでとても新鮮。心字池のスイレンの葉の陰に鯉の姿が見え隠れします。
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| ▲同じお庭も別の角度から眺めるとまた違った印象です |
小道沿いに進んで少し小高くなった場所から庭を見下ろすと、サツキやツツジの植え込みの形が、丸いのや四角いの、ちょっと変わった形のものと、色々あるのがわかります。
そういえば、さっき緑さんは「いつも写真を見ながら、植え込みの形を変えないようにせん定してる」って言ってたなーとか、「石が多くて平坦じゃないから、芝を刈るのが一番大変」っていうの納得だな!なんてことを考えながらしばし散策を楽しみました。
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| ▲庭をぐるりと囲む山林の小道沿いには雪舟の筆塚があります |
ふたたび本堂の廊下からしばらく庭を眺めて、さて帰ろうかなと立ち上がって振り返ると、お座敷の床の間に、「壽」という文字がとても印象的な書が飾られています。
お寺の修行僧の方におうかがいすると、この書は、江戸時代のとても立派なお坊さんであった白隠禅師(はくいんぜんじ)のものと言われていて、大変貴重なものなのだそうです。白隠禅師を知らなかった私でも、ひと目で引き寄せられてしまうような魅力的な書でした。
また、お寺には雪舟像の画も所蔵されていて、こちらは「雪舟への旅」展(11月1日〜30日 山口県立美術館)で見ることができます。